引違い戸の難易度

ここでは、「引違い戸の難易度」 に関する記事を紹介しています。
先日の記事「奥深~い引き戸」のところで、引き違い戸を
リフォームするときの大きなポイントがある、ということを書きましたが、
そのポイントとは…



ずばり、一にも二にも、『敷居が水平であること』です。

ふすまや二枚並んだ引き戸(つまり、引違い戸)を閉めたときや、
反対側まで引いたとき、柱の上や下側に建具との隙間が空くことが
ありますね。

このサイトのイラストで上手に説明してくれています。

リフォームで、こういった建具を作り直すのではなく、建てつけを
調整する、という意味では、先ほどのサイトの説明のように、
「飼い木」を入れたり、建具自体の枠などを削ることで、
引き戸を二枚とも閉めた状態のときに、それぞれの引き手がある側の柱
(わかりにくい説明ですが)との隙間はなくすことができます。

問題なのは、引き戸を反対側に引いたとき、引き手じゃない側の柱や枠と、
引き戸がやはり、隙間ができてしまうのですよね。

ということは、引き戸を二枚とも同じ側に重ねて開けたときに、
引き戸が多少「ずれて」重なる、ということになります。

従来お使いの建具の調整だけなら、閉めたときの柱と建具との隙間
さえなくなれば、すきま風が防げるとか、スムーズに開閉できるように
なったという部分で、お客様からは、とても改善したと
みなして頂けるのですね。

ですから、
「反対側にひくと、今度はこちらの柱とは隙間ができることになりますが」
とご説明しても、ご理解が頂けるのです。

ところが、リフォームで建具を新調する場合、その家の経年変化によって
敷居や柱が水平、垂直でない場合、あくまで新しい建具は四隅を
直角に作りますので、はやり、柱や敷居と隙間が空いてしまうこと
があります。

そうなると、お客様にとっては、
「なんで、新しく作り直したのに変な隙間が空くの?」ということとなります。

お客様によっては、反対の柱との隙間どころか、

「両方閉めたときに真ん中の枠同士が重なるところは、ぴったり
 揃ってないのはおかしいのでは…」

と気になさる場合も。

これは建具を新調するときに、敷居なり柱の水平、垂直を測って
おいて柱が垂直でないなら、柱は引っこ抜いて取り替えるわけには
いかないので、柱の表面に垂直を補正する見切り材をとりつける、
(部屋やもとの柱との調和をそこなわないように注意…)
敷居が水平でないなら、取り替えるという工事が必要となります。

ただ、敷居を交換するというのも大変なことです。
少なくとも、敷居の両側の床材のどちらかをめくらなくては
敷居だけをすっぽりと撤去することはできないことが多いからです。

どちらかの床が畳なら、畳を上げれば敷居をとることはできますが、
どちらも板やフローリング貼りだったりすると、それを破ってから、
というと床全体の貼り替え工事へと発展してしまいます。

そうなると、お客様のご予算にも相当響いてきますので、
少なくとも、工事に入ってしまう前に、引き戸の仕組みをご説明した上で、
見かけ上、建具や建具の枠がそろわない場合が生じることを
ご理解頂いておくことが大切です。

…と、実はわかったようなことを書いている私ですが、
このわかっていることをたいへん「うっかり」見落として
しまったことがありました。

それは、和風住宅の庭に面した、「4枚引きのガラスの引き違い戸」
の新調をお請けしたときのことです。

お客様はその家に新しく越されてくる方で、和の趣をとても大切に
される方でした。
元はその4枚引き戸部分には、アルミサッシの枠とサッシが4枚
取り付けられていました。

お客様は、そのサッシの枠が「リフォーム商品」で、元の木製の
敷居の上に、枠ごとアルミサッシを設置されてあることに気づかれて
いたので、アルミ枠を取って、元の敷居に木製のガラス引き戸を
新しく入れて欲しい、というご要望だったのです。

ご予算も限られる中、無垢の木でガラス引き戸を4枚新調することが
できるか微妙でしたが、他の工事項目との調整のうえ、予算内に
収めることはできました。

そして、私が予算調整にばかり眼を向けたのが失敗のもとでした。

4枚のガラス引き戸が出来上がり、建具の職人さんが長い時間かけて
建てつけを調整。

「はやり、木製の引き戸の方がこのお庭には似合うな~」
とうっとりと眺めていたその時、

「なんでガラス戸のこちらの枠と向こうの枠がぴったり
 揃っていないんですか?」とお客様からご指摘が…

この現場は、4枚引き戸、ということで、敷居の長さが3.5m近く
ありました。
しかも、元の敷居のまま使ったのですが、敷居の中心部分がたわんで
いたのですね。

敷居の勾配が仮に端の方で2ミリずれていただけでも、敷居の中心に
向かうにつれ、4ミリ、6ミリ、とだんだんずれが増していくのです。

2枚引き戸の敷居でも建具と柱のあいだに遠目から見て細長い
三角に例えられるほど隙間ができるくらいですから、4枚引き戸の
両サイドでは…

これが、ふすまだったり、木製の板状の建具なら、枠の多少のずれも
目立たない場合もありますが、ガラス戸となると、ガラス越しに
前後の建具の枠が見えるので、目立つのですよね。

もとのアルミサッシは元の敷居の上に重ねてサッシの敷居を水平に
調整してかぶせてあったので、その下の敷居がこんなに反っている
ことは計算にいれていなかった私の完全なミスでした。

こんな場合でも、もちろん前もってこのようになる場合があります、
とご説明してあれば、お客様の優先順位によっては、敷居をとって、
周りを補修する予算を省く方をとるか、見かけ上の完全性をとって、
予算を割り増しする方を選ぶか選択できるわけですね。

それが、後から「結果はこうなるんですけど…」というのでは、
お客様も困ってしまいます。

リフォームではこの手の説明不足が、せっかくのそれ以外の
工事の仕上がりまで不信感を持たれたり、信頼関係を失う結果に
なりかねないので、くれぐれも慎重にしなくてはなりません。

この現場では、再度建具を作り直し、少し状態を緩和させることで
お客様にはご理解いただけましたが、私にとっては、痛恨の一件と
なりました。

最近は、リフォーム用の商品が豊富で、建具の新調も、建具だけでなく、
枠ごとセットで交換することも多いですし、建具のこういった隙間

見えなくするような、工夫もされています。

例えば、枠にゴムの戸当たりがついていて、建具を閉めたときに
隙間が隠れる商品(それぞれクリックで拡大)
ドア01.jpg

ドア02.jpg

戸当たりの代わりに、枠自体に建具の厚みの溝が彫ってあって、
建具を閉めたときに、溝の中に隙間が隠れる、という商品も。

いずれにせよ、こういった商品のおかげで、施工がスムーズになり、
微小な誤差なら支障なくなるのは有難いのですが、
これに慣れて基本的なポイントをうっかり忘れてしまうと、
従来の柱に、建具だけ新調、の場合にとても大変なことがあります。
(…とあらためて自分自身にカツ!)

さて、今日の記事は…
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