誰かひとりでも…

ここでは、「誰かひとりでも…」 に関する記事を紹介しています。
先週から某私立大学の「学生会館」のクロスの貼り替え工事に
入らせて頂いています。

現場に入る前、「学生会館って寮みたいなもん?」と、
よくわかっていなかった夫と私ですが、建物の中に入ってみると、
ちょっとしたホテルのようでした。
(交流試合などの時の、他校の選手や監督の宿泊施設のようです)

先週はちょうどインフルエンザで大学などが休校になりはじめたころで、
私たちもちょっと心配でしたが、工事期間中は学生さんは一切いらっしゃらない
とのことでした。

ところで、この建物、仕事に入っていざクロスをめくってみると、



クロスがちゃんとくっついていなくて、「ぺろん」とめくれて
しまうのですね。

貼り替えのための「めくり作業」としてはラクですが、こんな状態では…

この建物は、昭和50年代に建てられたもののようで、すでに、
4回はクロスを貼り替えているらしい、ということがすぐにわかりました。

というのは、例えばこの、部屋の隅の部分

めくり跡

画像で左の方、等高線のように(!?)クロスをはがした跡の紙が、
何層にも残っています。

クロスをめくると、通常「裏紙」と呼ばれる、ビニルクロスの裏打ちの
紙が壁面に残るのですね。
(シールをはがしたときにも、裏の紙が表面に残ってしまいますよね。
 あれと同じようなものです)

前回クロスを貼ったときに糊が綺麗に下地についていれば、
裏紙が一面に残り、新しいクロスはこの裏紙の上に接着するということになります。

ところが、前回のクロスの糊が薄すぎたり、下地に段差があると、
きちんと接着できていなくて浮いているところができたりします。

浮いた部分が広い範囲になると、裏紙ごとクロスがめくれてしまう
のですね。
そこで下地がモルタルだと、浮いた部分のクロスをめくると
モルタル表面が見える、ということになります。

とにかく、今回の現場では、鉄筋コンクリートの壁面をモルタルでならし、
その上にクロスを貼っているのですが、これだけ何回も
クロスを貼り替えているのに、いまだに上の画像のように
クロスをはがすとモルタル面が現れるということは…

夫に言わせると、

「こんだけ何回も貼り替えてるんやから、誰かひとりでも、
 糊にプラゾールでも入れてたらなぁ」

『プラゾール』というのは、クロスの糊に混ぜて使うことで、
接着力を強化することができるものですが、もちろん費用が
かかるのと、混ぜるバランスによっては次の貼り替えのときに
クロスがめくりにくくなる、という難しさもあるそうなのです。

本来は新築のときに、モルタル下地の壁には「シーラー」というものを
あらかじめ下地に塗って糊の接着力を高める、という処理をしますが、
この建物ではされていなかったようです。

それならば、貼り替えのときに、「プラゾール」を混ぜることで、
ダイレクトにクロスをモルタル面からはがれにくくする、ということが
できるのですが、前回まで誰もその処理をしていないと…

ふと昔、耳にした寓話を思い出しました。

「外国のとある村で、長く勤め上げた村長さんが辞めるときに
 村の民でお祝いをしようということになり、各家からワインを
 少しずつ集めて、一樽分を村長にプレゼントすることに
 なりました。

 各家々を回された樽が村長のところにやってきた時に、
 村長が樽からワインを出そうとすると、中身はなんと『水』でした。」

 つまり、村の民が、
 『自分ひとりくらいワインの代わりに水を入れても、
 わからないだろう』と、水を入れた人ばかりだったというオチです。

 まあ、とにかく、今回の現場を見て夫とひとしきり話した後、

「で?あなたはどうするの?」と夫に聞くと、

「そりゃプラゾール入れるよ。元請さんから費用はもらえなくても、
 後から『めくれてきた』なんて言われたくないし、
 こんなん見たら俺も嫌になるからな」

「へ~。職人のプライドってか」

「まあな」

というわけで、何年か後にこの建物でクロスの貼り替えをする職人さん、
ばっちり下地処理しておきますからね~。

さて、今日の記事は…
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