親切心が思わぬことに…

ここでは、「親切心が思わぬことに…」 に関する記事を紹介しています。
今月初め、とある一戸建てのリフォーム工事に伺いました。

今回のお客様は、知り合いのご年配の大工さんが、長年お付き合い
されていた方で、これからは私たちにお仕事を引き継いで欲しいと、
紹介して下さったのです。

下見にお訪ねすると、和室一部屋のじゅらく壁をクロス貼りにしたい
とのことでした。

こういう場合、本来は、じゅらく壁の上にベニヤなりボードなりを
上貼りしてからクロスを貼りたいところ。

ただし、柱や付け鴨居などとじゅらく壁の「ちり」(段差)があるか、
ベニヤなどが上から留められるような下地があるかどうか、
また、予算や工期などで望ましい施工法が変わってきます。

今回は、じゅらく壁の上に下地調整剤を塗り、その上から全面パテを
して、クロスを貼る、という方法をとることとなりました。

このような施工方法だと、次回クロスの貼り替えで元のクロスをめくる時、
古いじゅらくも一緒にバサっと落ちてくる可能性があるのですが、
あえてその方法で構わない、とのことでした。(次回は建て替え!?)

そこで、ざっくりとその場でお見積り額を提示し、
クロスの柄を決め、工期と段取りをご相談。

見ると、6帖の和室には、タンスが二棹、それに並んで、背の高いお仏壇、
あとは小家具にテレビ、といった状態です。

「私、ひとり暮らしなので、家具はよう動かしません…」とご年配の奥様。

(…う~ん、四方の壁にパテしたり、クロス貼るのに、
 タンスを寄せても作業スペースがちょっとキツイな…と思いつつも)

「大丈夫ですよ。家具は私たちで動かします。
 上に置いていて倒れる物とか、壊れ物だけをよけておいて
 下さったら結構です。」と夫と私。

(まあ、『カグスベール』あるし、なんとかなるか♪)

ところが、これが「大丈夫」では無かったのです。


工事に入る前に、「畳の表替えもしたい」との追加のご要望があり、
初日には、まず、畳屋さんに畳撤去に来てもらいました。

もちろん、畳屋さんも『カグスベール』を何セットもご持参。
タンスをずらしては手際よく畳を撤去、ずらしたタンスの下には
ミニサイズの畳をかませて、あっという間に畳がなくなった床板の上に
タンスの「島」ができました。

ここからは、私の出番です。
パテの作業に備えて、養生シートでタンスや家具、
そして大事なお仏壇をていねいにカバーしていきました。

そして、壁の額縁をはずしたり、露出のアンテナ線や電気配線を
とめたステップルをひとつひとつ抜いてから、壁の下地調整剤が
つかないように、壁際にマスキングテープを貼っていきます。

6帖間とはいえ、タンスの島を移動しながらの下地とパテ作業で
ほぼ一日強はかかり、和室の物入れ内のちょっとした造作も必要でした。

こうなると、三日目の夕方に頼んであった畳の搬入までに
クロスが貼り上がるかと、夫と私は少々不安になり、二日目の夜、
家でクロスの糊付をしてから現場へ持参することにしました。

その甲斐あって、予定通りに工事は完了。
表替えした畳も届き、い草の香りにうっとり。
奥様とご一緒に新しい壁を見回しては、
「雰囲気変わりましたね~」「ほんと、明るくなった」と
喜んでいるうちに、ふと奥様が、

「あら?これ…」

なんと、お仏壇の台座と本体(と呼んで良いのか?)が
重なっている部分の角の漆が少し欠けて、木の下地が
見えているのです。

奥様が指で触れてみると、ポロッと漆の膜が剥がれ、
どうも、今回の家具移動で傷が付いたようす。

もう、その瞬間、私たちは目の前が真っ暗でした。

大事なお仏壇だから、もちろん丁寧に運びましたし、
ホコリが入らないようにと、半透明の養生シートで覆っていました。

私と夫はずっと一緒にいましたので、道具をぶつけたとか、
身体をぶつけたということもお互いに見ていません。

あとは、畳屋さんが畳を取ったり敷いたりしたときに、
二人組でお仏壇を持ってくれましたが、普段から家具移動に
慣れている畳屋さんのこと、もちろん丁寧にしてくれていました。

ただ、気になるのは、そのお仏壇の造り。

台座と本体に分かれていたようなのですが、それらが別々に
ずれて動くのですね。
たとえて言えば、「だるま落とし」のような感じ。

家具などでは、上置きと下の段で分割になっている場合は、
「ダボ」とよばれる木の小さな棒とそれを入れる穴などで、
上下がずれないようになっています。

こういうものがなくて、とにかく本体だけを押したら
台座の上を本体が横にすべってしまうのです。
つまり、上下がずれたときに、お互いが擦れることで
漆が欠けてしまったものと思われます。

一番下の台座だけを持って動かしていたらずれずに
移動できたのでしょうが、本体にも手を添えて
動かすことで、上下がずれたということなのでしょう。

とにかくその場は、夫と一緒にお詫びし、

「修理に出されたあと、またご連絡下さい。
 私たちもご負担させて頂きます。」と申し上げると、

「厚かましいですけど、びっくりするような金額
 だったら一応ご連絡させてもらいますね…」と

私たちを責めもせず、その上、工事代金もその場で
お支払い下さいました。

そして、先日、修理が終わったとのご連絡を頂いたのです。

お仏壇屋さんは、一度、お仏壇を持ち帰り、修理の上で
また届けに来られたとのことで、費用は私たちの今回の工事代金の
ほぼ半額でした。(畳屋さんに払う費用を除く)

「お客様には非はないけど、サービスであれだけの家具移動して、
 傷がついたときのリスクだけはこっちが負担するっていうのは、
 つらいなあ。」と夫。

私は、見積もりや材料手配などの事務仕事、そして、当日の
ちょっとした下準備は手伝いますが、それ以外の時間は、
現場で気楽なものです。身体を使って、パテの粉まみれで
三日間仕事をした夫の気持ちも当然わかります。

「私たちがもし、家具移動費いただきますって申し出てて、
 それをお客様が値切った、とかなら今回の責任はとれないって
 言えるけど、こっちが勝手にサービスしたんやもんね。

 それに、お仏壇はやっぱり高価なものやし、
 あんなに簡単にずれるって知らなかったのも、
 自分たちだけで運んだのも落ち度やったんやわ。

 もし、あなたの実家の一人暮らしのお母さんのところに、
 誰かが工事に入って、お母さんが『工事してもらったけど、
 お仏壇に傷ついちゃって』って 言いはったら、
 あなたは『ちゃんと弁償してもらいや』って、きっと
 言うよね。

 やっぱり、今回は、金額を気にしたらあかんわ。
 私、同業者さんのためにも、お客さんのためにも、
 こういうことは予め想定して、お互いが
 気まずい思いしたり、後味悪くならないように
 ブログに書いて情報発信するわ!」

ということで、ここに書いています。

そういえば、私が以前リフォームの会社にいたときには、
上司から

『ピアノは調律が狂うかもしれませんので、
 基本的にはこちらでは動かしません』

『エアコンは冷媒管のガスが抜けるかもしれませんので
 電気屋さんに撤去と再取り付けしてもらって下さい』

とお客様にお伝えすること、それらの責任を問わないから、
という条件つきで、職人なり社員が運ぶということを
徹底されていました。

それでも、一般的な家具は移動費を申し受ける、というわけにも
いかず、こちらで動かしましたし、中には、養生テープのせいで
家具の表面の塗装が剥がれたと補修費を請求されたケースもありました。

この、養生テープというもの、養生の為にどうしても貼らなくては
ならないのに、貼るのがコワい時があるのですね。

表面がかさかさとした年季の入ったフローリング面や家具の塗装面、
プリント紙で巻かれた棚などは、この弱い接着力のテープでも、
はがすときに、表面の塗装や木目をうっすらとはがしてしまうことが
あるのです。

これも、物によっては、養生する前にお客様に声をかけて
おいたほうが良いかもしれませんね。

とにかく、リフォーム工事に入るときは、なにごとも、
事前に「こうなるかもしれませんけど、そのときはどうしましょう?」
とお客様にお尋ねしておくことは大切だと思います。

あとから、「初めからこうだった」とかは、どちらからも
証明できませんし、気まずくなるのもお互いに損ですから。

こういったテーマの話、他の記事も書いていますので、
ぜひ、ご参考になさって下さい。

エアコンとクロス
急がば養生はすべし
家具と荷物と廃棄物


さて、今日の記事は…
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